【第7回】キャッシュで大局

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【概要】

 

今回のテーマは、クラウドんぶり会計コンセプト(5)の「キャッシュで大局」です。

 

このコンセプトは「クラウドんぶり会計」の江戸商人の知恵である「どんぶり」が「現金扱い中心」であることからきています。

 

実は、クラウド会計ソフトも同じように「現金扱い中心」の会計処理をベースとしているのです。

 

今回は、そのことのポイントとメリットについて、理解することを中心にみていきます。

 

【1】トップ画面の「収支グラフ」に注目する

 

クラウド会計freeeのトップ画面の中央には「収支グラフ」が表示されています。

 

これは、毎月の収支をグラフ化して、常に事業の動向を可視化してくれる非常に有効なガイドになっています。

 

しかし、実はこのグラフを観るのには少し「注意」が必要です。

 

それはこの「収支」というのは「損益」ではないということ。通常の事業においての成績は「PL=損益計算書」で判断します。


つまり、その月の「売上」と「費用」を計算するのがPLです。でも、このグラフは「収支」となっています。

 

収支というのは「収入」と「支出」のことで現金の出入りのことです。

 

ですので、損益(売上・経費など)でない入出金、たとえば高額な借入金をしたり、返済をしたり、固定資産の購入をしたりした場合もこの収支グラフに表れてくる訳です。

 

【2】現金主義と発生主義

 

ここで少し難しい話ですが、freeeなどのクラウド会計ソフト特有の計上主義について理解することが大切です。

 

クラウド会計ソフトfreeeは、自動化をより簡単に実現するために、銀行口座等に入出金されたデータを取り込んで、仕訳を自動的に作成する機能を中心としています。

 

これは、例えば1月中に売上の入金1万円、経費の出金2万円があったとして、それが、前月分の売上であっても、翌月分の経費であっても、通常は、現金の動きがあった「1月の入出金」として取引計上(認識)するという方法です。

 

これを「現金主義」といいます。

 

一方、1月に入出金があったとしても、売上や経費が実質的に発生したタイミング(12月や2月)で取引計上するという方法を「発生主義」といいます。

 

会計の原則としては「発生主義」が正しいのですが、実務的に「現金主義」を採用することも間違いではありません。(そのずれが年度内であり、また年次決算の際に調整するという前提)

 

すなわち「収支」という観点でみると、入出金のタイミングでみた「売上」や「費用」が計上され、また、「借入金・貸付金」や「固定資産購入」の入出金についても、現金主義をベースにした「収支」に含まれます。

 

それが「収支グラフ」となって表れています。

ビデオ解説
 

【3】収支・損益をみる工夫

 

この「収支」をみる、現金主義のメリットとしては、「実際の現金の動きを正確に把握できる」ということにあります。

 

「黒字倒産」とか「勘定合って銭足らず」という言葉を聞いたことがあるかと思いますが、会計上の「損益」では利益が出ていても、キャッシュフローが悪化(入金が遅れる・支払が早いなど)した結果、手許現金がなくなってしまうというケースです。

 

そのようなことを、現金主義の「収支」を把握することで、回避できるというメリットがあります。

 

一方、前述のとおり会計の基本ルールとしては発生主義ですので、正しい「損益計算」をするために、売上と費用を対応させるには、少し工夫と手間を必要とします。

 

1.掛売上(後入金)の売上の場合は、請求書を発行すること。

 

2.掛仕入(後払い)の購入の場合は、「未決済」での計上をすること。

 

 ※この2点(売掛金・買掛金計上)については、第9回で詳しく解説します。

 

3.高額な物品の購入(青色申告なら30万円以上)の際は、「固定資産」として計上して年度末に減価償却費の計上をすること。(これについては、税理士等にみてもらうとよいでしょう)

 

4.損益をみる場合は、クラウド会計freeeのレポートのうち、「会計帳簿」の方で確認する
・月次推移:損益計算(P/L)
・試算表:損益計算(P/L)

 

などです。

ビデオ解説

【4】現金取引中心で自動化を実現

 

また前述のとおり、現金主義のメリットによって、会計処理がシンプルになり自動化が実現している、こともあります。

 

実際、個人事業主やスタートアップの小企業は、「掛取引」が少ないため、現金取引が中心となっています。

 

売上を計上するにしても、中企業・大企業のように、月末締め翌月末払い(業種によっては、2~6か月後払いというのも)というのは極力避けて、できれば「前払いにしてもらう」というのが、経営的(キャッシュフロー的)にはベターです。

 

経費もほとんど、銀行引き落としや銀行からの支払いにして、定番の経費支払いについては、現金の動きのあった時に、経費を認識するという方法をとることで問題ありません。

 

そうすることによって、取引の80~90%は、現金主義での処理をすることができ、それが自動化(効率化)につながっていきます。

 

以上が、第7回の内容になります。

 

この「キャッシュで大局」をつかむということは、クラウド会計freeeを活用するうえで、必ず押さえないとならないポイントです。

 

ぜひ、現金主義処理のメリット・デメリットをしっかりと理解して、会計の自動化・有効化を実現していきましょう。